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千葉県富津市青木にある地域密着型医療施設。病院・介護老人保健施設運営。

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コラムColumn

平成27年5月11日(月)に行われた千葉県民間病院協会総会にて、当法人理事長 三枝一雄 が講演を行った際の記録に、演者が加除訂正をしたものです。ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

平成27年 千葉県民間病院協会総会 講演記録(三枝一雄)【後編】

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第二には後継者の育成です。

事業の存在価値は利益や外郭を大きくするだけではありません。特に病院は長く培った信頼が大切で、民間病院は長年のかかりつけの患者さんはもとより、地域の為に、また従業員のためにも一時的な成功や繁栄で終わることなく、継続が大事です。民間の小病院ほど、身内が、息子が医師になって病院を継いでくれることほど安心で嬉しいことはありません。特に長年苦労した妻の思いはそうでしょう。三枝病院の場合は、医師の家柄としては長く続いてきたものの、病院としては私が初代です。しかも、子供に恵まれず、他人に引き継いで貰うほどの規模ではありません。先のことはあまり考えずに走ってきました。

ある時、モラロジーのある先生が病院にお話に来られてわが家にお泊りになりました。その時に子供がいないことを知って「養子を貰わないか」というお話を切り出されたのです。私はその時に講師のお人柄と親切さに見せられて「はい」と申し上げたのですが、その後も妻と話し合って養子を貰う肚が出来ました。それまでは子供はいなければいないでもいいと安易に思っていましたが、モラロジーを学んで親の恩を知り、そのお返しも出来ない人生では申し訳ない。養子がもしはずれたらそれなりに一緒に苦労させて貰おうと覚悟が出来たのです。

「念ずれば花開く」という坂村真民の言葉どおり、養子の候補が出てきました。多くの方々のお世話とお力添えのお陰で、医師となりわが家を継ぐことになりました。さらに嫁を迎えることになり、初めて私は親の役目として「結納式」をやらせて頂きました。わが家の嫁となる娘の実家は滋賀県の琵琶湖のほとりです。途中、見渡すかぎり麦畑、5月の太陽が照りつける「麦秋」です。ふと私は小津安二郎監督の映画を思い出しました。ここから原節子さん、いやもうすぐ私の娘となってくれる人が現れるシーンを思い浮かべました。とうとうやりました。子供のいない私たち夫婦が一度に二人もよそさまから立派に出来上がったお子様を頂くのです。

まさに思うことが思うようになる、いや、思い掛けないことが起こったのです。双方のご両親はじめお世話頂いた方々にどれほど感謝していいかわかりません。そう思うと涙がとめどなく溢れてきました。平成3年、今から24年前のことです。めでたく結婚式を済ませた二人は私の母の処へ挨拶に行きました。母は高齢の為、結婚式には出席せず、父なき後の家を守って一人で暮らしていました。母は神棚からすすけたダルマを取り出して二人に墨で目を入れるように頼みます。実は片方の目は私が結婚したときに入れたのだそうです。孫が出来て、母もすっかり安心したようです。

こうして新しい家族を得て月日が経ちます。いつしか三枝病院も40周年を迎えました。はじめてモラロジーの講演を聴いた時から35年です。この日私は院長職を倅にバトンタッチしました。職員達も安心してついて行きます。新院長の方針、哲学が変わらないからです。実は倅の祖父はモラロジーの役職についた人で、倅も学生時代からこの教えを学んでいます。叔父は藤村社長の会社ジュピターコーポレーションの重役でした。嫁の実家もモラロジーの研究者です。仲人は「縁結びの神様」と呼ばれたモラロジー社会教育講師、松戸品次先生でした。今から37年前、わが家にお泊りになり「養子を貰わないか」と言われたその方です。

お話にモラロジーばかり出てきてしまいましたが、これはもうご縁があったとしかいいようがありません。私が選んだ人生ではなく、人生に選ばれたのでしょう。倅は家を継ぎ、病院を継ぎ、医師会の役員まで継ぎました。事業経営でもモラロジー教育を継承して「人づくり」を進めています。期せずしてよい後継者に恵まれた三枝病院は一代でつぶれることを免れました。


Saigusa Hospital三枝病院

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